組込みフォントの基礎知識

トピック5:フォントを選ぶ

フォントは、イメージを伝えるデザイン素材であると同時に、情報伝達に不可欠なデジタルインフラでもあります。フォントを選ぶには、この両方の側面から検討する必要があります。

1. デザイン素材の側面から検討する

私たちは日頃から大量の文字に触れています。そのため、文字のデザイン=フォントから、意識下で様々なイメージを受け取っています。フォントがビジュアル全体に及ぼす影響は少なくありません。

1-1. 伝える内容とイメージ

フォント次第でメッセージの印象は変わります。しかし、残念ながらフォント選びに安直な正解はありません。私たちフォントメーカーができることは、高品位な製品群の中から多彩な選択肢を提供することと考えています。当サイトのフォントファインダーには、自由なテキストでシミュレーションする機能があります。フォント選びにご利用下さい。

1-2. 目的とデバイス

《可視性》

道路標識のようなサインに求められる、瞬時の識別のしやすさを指します。ユーザーインターフェイスとして、機器の操作に用いる場合に重視されます。一般的には、ゴシック系の書体が候補となります。フォントワークスのラインナップでは、ロダンニューロダンスーラUCフォントが選択肢となります。

《可読性》

文章として読んだとき、その意味がすっと理解できるかどうかを指します。文芸作品のような長文を読ませる電子書籍リーダーに用いる場合に重視されます。一般的には、明朝体が候補になります。フォントワークスのラインナップでは、筑紫明朝筑紫Aオールド明朝マティスが候補となります。しかし、筑紫ゴシック筑紫A丸ゴシックなど、ゴシック系の中でも可読性の高いフォントもあります。

1-3. ウェイト

同じデザインの「ファミリー」の中で、ウェイトが豊富に用意されていれば、表現に統一感を持たせながらメッセージにメリハリをつけることができます。例えば、メッセージ本文のウェイトを“M”、メニューの文字列には“DB”、見出しや注意喚起する強調部分だけを“B”、という具合に使い分けができます。
個性的なデザインのフォントでは、ウェイトが揃っていないことがままあります。検討しているフォントのウェイトも事前に確認して下さい。

2. デジタルインフラの側面から検討する

フォントは、デジタル機器で文字を扱うための重要なインフラとして機能します。意図しない表示になるようなことは避けなければなりません。慎重に検討する必要があります。

2-1. 文字セット

文字セットについては、本稿の「トピック3:組込みに必要な文字セット」で説明した通り、標準化機関が定めた標準(デジュールスタンダード)と、事実上の標準(デファクトスタンダード)が交錯し、非常に分かりにくい状況となっています。用途に応じた現実的な選択をする必要があります。実際に検討する際の基準として、大まかに以下の通りが考えられます。
(1)英数字と記号のみでよい。
(2)JIS第2水準漢字まで使いたい。
(3)JIS第2水準漢字までだが、JIS2004例示字形を使いたい。
(4)できるだけ多くの漢字を使いたい。異体字も使い分けたい。

2-2. ファイル容量

フォントごとにデータ容量は異なります。これはデザインの違いが関係しています。また、デザインが同じであっても、文字セットが違うなら収録されている字形数が変わるため、容量も違ってきます。 組み込む機器のリソースと照らし合わせて検討して下さい。ソフトウェアへの組込みの場合は、ダウンロード時間への配慮が必要かと思われます。
フォントワークスでは、必要な字形のみを取り出し、新しいサブセットフォントとして生成する「字形ピックアップツール」というソリューションも用意しています。用途によってはフォントデータを削減することが可能です。詳細をお知りになりたい場合はお問い合わせ下さい。

2-3. 日本語以外の言語

仕向先ごとの言語のフォントが必要となります。また、本稿の「トピック4:組込みフォントの形式」でも触れたように、アラビア語やタイ語にはレイアウトエンジンが必要です。フォントワークスでも取り扱っております。
仕向先ユーザーへ違和感を与えないという観点から、フォントは、基本的には現地の人間がデザインすべきです。フォントワークスでは、日本語、中国語、韓国語をそれぞれ現地のデザイナーが作成し、それでいて一つのデザインとしてブレのない「UCフォント」を用意しています。漢字圏のみならず、欧州言語も広くカバーしています。

3. 検討が進んだら

使いたいフォントが絞り込まれてきたら、以下の要件も検討して下さい。

3-1. ライセンス

組込みのライセンスは個別契約になります。使用範囲を事前に確認したうえで、合意事項を契約書に反映します。フォントワークスではお客様のご要望に則したライセンス方式をご提案いたします。

3-2. カスタマイズ・オリジナルフォント

フォント選びについて一通り述べてきましたが、既存のフォントでは要求を満たせない場合もあるでしょう。また、文字セットに含まれていない外字が必要な場合や、特定の字形だけを変更して欲しいといった要望もあるかもしれません。フォントワークスでは、カスタマイズやオリジナルフォントの作成を承っております。

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