絵本『チャドとクラークのぼうけん島』 アニメーション映画監督 竹清 仁氏が手掛ける絵本。アニメーション映画監督ならではの「アニメのように動きのある絵本」は、絵本を読みきかせてもらう時期は過ぎたけど、文字ばかりの児童文学はまだ早い、そんな時期のお子さまにピッタリの絵本として人気を集めています。
モンブラン・ピクチャーズ株式会社さまのご紹介
モンブラン・ピクチャーズ株式会社さまは、3DCGアニメーションとモーショングラフィックスを軸に、劇場映画、キャラクターデザイン、TVCMやゲームなど映像にまつわる様々なコンテンツの企画、制作をされている会社です。
映画 放課後ミッドナイターズや、ヤフオクドームのホークスビジョンにもフォントワークスフォントをご使用いただいています。
今回は、本文に筑紫ゴシックをご使用いただいている絵本『チャドとクラークのぼうけん島』にスポットをあて、フォント選定に関する考えなどをお伺いしました。
本文書体に「筑紫ゴシック」を選定した理由
それは、この絵本のストーリーに大きく関係します。
読み聞かせをしてあげるような小さな子どもから、1人でしっかり読めるような小学校の低学年、はたまた大人が読んでも面白いと感じてもらえるようにと制作した「チャドとクラークのぼうけん島」は、性格も育った環境も異なる主人公たちの、出会いから冒険を通して生まれた友情を描いた“大人が読んでも思わず泣ける味わいのある内容”となっています。
なので、絵本とは言っても意外にもハードさを感じられるようなところもあるんです。現実を突きつけられる…みたいな。そのため、一般的には丸ゴシック体など、ちょっと可愛らしいフォントが使われるのかも知れませんが、これにはちょっと合わないかなと思い、普遍的で読みやすいけどちょっとだけクセがある、そういった雰囲気の「筑紫ゴシック」を選びました。
「筑紫ゴシック」に決まるまでの具体的な選定方法
実際のテキストの一文を選定対象のフォントに置き換え、並べて比較してみました。
最初の段階では、本文に使用することを考えて、ポップな感じのものや、デザイン性が強い書体、明朝体はちょっと雰囲気が違うよなぁ、という考えから、丸ゴシック体とゴシック体からベーシックなものを20書体くらい選んだと思います。
その後は、先ほどお話しした理由で、丸ゴシック体が選択肢からなくなり、ゴシック体での選定となりました。
ベーシックな本文用のゴシック体にも、余分なイメージを加えることのない“カチッ”とした印象のものや、何か有機的なニュアンスを持つ柔らかい印象のものがありますよね。
その2つは、必要最小限の情報を伝えるのに適した書体と、親しみやすくいろんな想像が湧きやすい書体とも言えると思うのですが、絵本には後者の方が絶対にいいですよね。 最終的には、フォントを含めて1ページ丸ごとレイアウトしてみて、読みやすさと雰囲気を確認しました。今、改めて見てもしっくりしていて、すごくいい具合だと思っています。
現場の声を聞いて制作した販促物は、人気の教材になっています
今回、初めて絵本の制作をしたのですが、絵本におけるフォントの役割って、ものすごく大事なものだと感じました。
この絵本のほぼ半分は、文字なんですね。文字だけの小説よりも、絵と同じくらいの分量に文字が配置されるということが、重要なポイントです。 絵本に使うフォントは、絵との相性を考慮する必要がありますし、また小さい子どもは文字として認識する前に、図形として捉えると思うんです。 そういったこともあり、文字の形が醸し出す雰囲気は、内容を伝えるための大事な要素となるのだと改めて感じました。
絵本の読み聞かせイベントで反応をダイレクトに
クライアントからいただくお仕事以外にも、自分たちでオリジナルのエンターテインメント企画を立ち上げて、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいと始めた絵本制作ですが、絵本の制作で完成ではなく、絵だけでも楽しめるようなアニメーションにするところまでやりたいなと考えていました。
絵本の静止画に、少しだけアニメーションを加えることで、“動く絵本”を作り、ちょっとだけ想像力が広がるような仕組みを取り入れています。それをTVシリーズとして放映いただいたり、小学校や幼稚園、書店で読み聞かせのイベントを行ったりしているんですよ。
子どもの想像力ってすごいですね。絵とストーリーを自由に結びつけて楽しんでもらえているようです。これが評判となって、最近ではあちこちから声をかけてもらっています。制作した絵本の反応をダイレクトに感じられることから、弊社のスタッフも一緒になって楽しんでます。
フォントワークスフォントの魅力と今後への期待
フォントワークスフォントは、フォントのデザインはもちろんですが、使用許諾範囲がはっきりしているところがすごく魅力です。フォントメーカーやフォントごとに異なる許諾は、媒体が複数に渡るこの業界にとって、すごくデリケートな問題ですからね。実は、この許諾について以前ちょっと間違った使用をしてしまったこともあり、フォントワークスフォントならばと安心して使用しています。
そんなフォントワークスフォントに是非加えてもらいたいフォントが…
最近は、モニタの解像度があまりにも良く、フォントがあまりにも正確でシャープすぎるんじゃないかと思っています。エッジがちゃんと出すぎているような。
モニタで表示したときにも印刷物のようにファジーになってる、そんなフォントが欲しいです。 隣あうウエイト同士をモーフィングで繋いで、間のウエイトを作るようなイメージなのですが、ニュアンスを足そうとするときの滲みとか揺らぎとかは職人技ですよね。フォントはディテールにこそ、魂が宿ると思っていますので期待しています!
企業情報
社名 | モンブラン・ピクチャーズ株式会社 |
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所在地 | 福岡市中央区高砂1-9-3 六月田ビル3F |
URL | http://mtblanc.jp/ |
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