英語タイポグラフィ講座 初級編1:単語・文法の使い方は合っている?

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近頃、空港や駅、行政機関などの公共施設、さらにショッピングモールやテーマパークなどの観光関連・商業施設で、案内表示が多言語で表記されている場面をよく見かけるようになりました。また、インターネットなどで海外展開を行うサービスを訴求する際の広告ビジュアルも多言語展開されている例は日常的に目にします。
今や日本国内においても、多言語を用いた組版はデザインで重要な視点の一つになっていると言えるでしょう。
ですが、英語を始めとする多言語の組版には、私たちが普段接している日本語組版とは違った言語上の規則や注意点があります。これらの規則や注意点を踏まえていない場合、情報が間違って伝わったり、十分ではなかったり、わかりにくかったりしてしまう可能性が出てきてしまいます。


また、文字情報は言葉だけでなく目に見える形とデザインをともなって成立しています。
つまり、言語上の正しいルールで文章を書くことも大事ですし、そのタイポグラフィも重要視する必要があるということです。 案内表示にある情報の中で英語の箇所だけを頼りにしている人にとって、その英語の箇所が、公共的あるいはコマーシャルな情報伝達として影響を与える可能性があるからです。
そこで今回から初級編・中級編・上級編にわたり、初級編は全3回で、英語の組版について特に知っておくと役に立つトピックをご紹介していきます。
初級編で取り上げるのは、英語表記でありがちな間違いと、その解決法。中級編では、読みやすい英文にするためのテクニックをレクチャーします。そして上級編では、英語のタイポグラフィをより洗練するための視点についてお話します。
ぜひこのシリーズで英語組版についてもっと知っていただけたら嬉しいです。
初回となる本記事では、英文表記でありがちな間違いポイントのひとつ「単語や文法の使い方」についてお話します。

協力:アドビ社

※ここでご紹介している画像は例を分かりやすくお伝えするためにご用意した、架空の事例です。

その言葉だけだと意味が通じないことも……

英語は表記されているものの、あくまでもデザイン上の装飾として使用されているパターンがあります。
例えば下の画像のように、「information」と英語で書いてあるのに、何についての情報が得られるかが英語で書かれていない案内板。装飾として使用されている可能性があります。

間違い例

Informationの後に目的語がきておらず、お知らせの内容を日本語でしか表記していません。

これは、「information」がそもそも情報を伝えたいという意図ではなく、装飾する意図で記載されていると言えます。情報を伝えるためには、一例ですが「information」という言葉を省いて「Last trains of the day」などと記載する必要があります。

正しい例

また、「Get」や「Let's」といった言葉の場合、単語の役割自体が補助的なものなので、その単語の後には、「なにを」「どうする」といった動詞や目的語がなければ意味や意図が伝わらなくなってしまいます。

間違い例

このように、英語部分だけを読んだ場合でも意味が通じるように、情報を記載しておきましょう。

正しい例

正しい文法を使えている?

文法の誤りに代表されるおかしな英語表記は、翻訳者のミスであることがほとんどです。実は外国人にもスペルが苦手な人は少なくありませんので、翻訳者は慎重に選ぶことも重要です。
例えば、こんな例。

間違い例

自転車の販売店でしょうか。店頭に並ぶ自転車は実際に乗って試せるようですが、店員が近くにいないため、電話をかけて呼び出す必要があります。
この案内板には大きく「TRY ME」と書かれていますが、これは問題ありません。問題は「試乗される場合は係員にお知らせください。」の翻訳部分。
誤:Please calling staff when you try this.
「calling」ではなく「call」とすると意味が通じます。
正:Please call staff when you try this.

正しい例

次はホテルの部屋でよく見る案内です。備品に関する注意書きが3つの言語で記載されていますが、英語部分に誤りがあります。

間違い例

「毛布はホテルの備品です。お持ち帰りはご遠慮ください。」を英語に翻訳していますが、 「is belonging to」ではなく「belongs to」が正しい表記です。
誤:The blanket is belonging to Our hotel.
正:The blanket belongs to our hotel.

正しい例

英語だけでも、しっかり伝わるように!

今回の例のように、意味が通らない英語表記をしてしまう背景には、「デザイン上の装飾で単語を使ってしまう」「翻訳に誤りがある」という原因が隠れていました。
その案内板の中で英語の箇所だけを取り出したときに、しっかり意味や意図が伝わるようになっているでしょうか? そして、その文法に間違いはないでしょうか? 気をつけてチェックするようにしましょう。



この記事を書いた人

福島 里江

mojimoを立ち上げました。バスケと漫画が大好き。広報もやってます。

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