フォントワークスは、中国語フォントメーカー北京北大方正電子有限公司(以下、方正電子)と、フォントワークス書体の中国語(簡体字)フォントを共同で開発しました。
第一弾として、簡体字化した「筑紫Aオールド明朝」および「パール」が方正電子より提供開始されました。日本国内では2020年夏頃より順次提供予定です。
「筑紫書体シリーズ」などフォントワークスの日本語フォントは、その品質の高さから中国国内のデザインコミュニティからも高い注目を集め、中国のゲーム制作会社からは実際にご要望をいただきました。
この需要の高まりを受け、中国国内で約90%のシェアを持つ方正電子とフォントワークスは協力関係を確立し、簡体字フォント開発を2019年より、両社書体デザイナーの知見のもと、方正電子の書体デザイナーによって作成された書体を、弊社デザイナーが監修する形で開発を開始しました。
日本語フォントのデザインの美しさをそのままに、中国本土の中国国家文字規範に基づいた簡体字化を行いましたので、中国本土向けのゲームや組込製品を日本語版と同じデザイン性で展開できます。
簡体字化したフォントワークス書体は、中国国内で「Zhuzi Book Series」として9ファミリーの合計31フォントとして順次開発・提供されます。
なお中国語化した書体は、筑紫Aオールド明朝が「方正FW筑紫A老明朝」、パールが「方正FW珍珠体」と名付けられ、文字セットは中国語の文字コードGB2312(※)に対応しています。
※GB2312は、広告、パッケージなどの印刷物やゲームや映像などにおいて、画像としてのご利用が可能です。
「方正FW筑紫A老明朝」開発の経緯と特徴
簡体字フォント「方正FW筑紫A老明朝」は、日本語フォントの筑紫Aオールド明朝をもとに中国国家文字規範の字形に合わせ、以下のような調整を行いました。
- ふところの調整
- 筆画の規範化と最適化
- フォント全体の重心や余白、字面、字重(縦横ストロークの比率)の調整
- 元フォントから不足している簡体字の制作・補完
中国の国家文字規範の筆形に合わせたデザインの調整
一例として、「春」の簡体字対応では、右払いを短く調整したり、「花」の左払いを伸ばしたりして文字の重心バランスを取っています。
他にも、国家文字規範の筆形に合わせ「流」の2画を1画の折れ線、「好」の女偏を連続した1画に。さらに「耀」では、光の折れ線部分を調整し2画を1画に、羽内の横線を点とはねに、といった2か所を調整しました。
これにより、筑紫Aオールド明朝の品質を保ちながら、中国語での読みやすさを意識したフォントデザインが実現しました。
簡体字対応で必要な「部首」や「へん」、「つくり」などを補完
「方正FW筑紫A老明朝」では、筑紫Aオールド明朝には含まれていない簡体字を新規にデザインしました。 下図、灰色で表記した「部首」や 「へん」、「つくり」について、日本語版のデザインや風格をベースに新規に開発を行い、文字の不足を補うことにより、中国語でのフォント製品化の規格要求を満たしました。
豊富なウエイトで多彩な用途に対応
「方正FW筑紫A老明朝」はL/R/M/D/B/Eの6ウエイトを用意しており、さまざまなメディアやフォントサイズ、コンテンツレベルに対応可能です。
ゲームやその他サービス・製品の中国語への展開が、世界観を損なうことなく実現できます。
高級さと伸びやかさがあり、可読性にも優れたフォント
「方正FW筑紫老明朝」は、活字としての趣と、現代的な審美感を兼ね備えた高品質な宋体として、 ウェブサイトや携帯電話、ゲームなどのデジタルコンテンツだけではなく、広告やパッケージのデザイン、書籍の装丁など、様々な用途で高級かつ雅な雰囲気を創出できる書体です。
また、さまざまなサイズの文字でのレイアウトでも視覚的なバランスが取れ、可読性にも優れています。
「方正FW筑紫A老明朝」のもととなった筑紫Aオールド明朝
筑紫Aオールド明朝は、「筑紫書体」のオールドスタイルの明朝体です。美しい打ち込みや伸びやかなハネ、ハライが特徴的な書体です。2008年にリリースした筑紫オールド明朝の一部の漢字デザインをさらに 伸びやかにリデザインし、書体名も新たに6ウエイトのファミリーを揃えました。英数字はガラモン系のデザインを採用することで、表情豊かで味わい深い漢字・かなの書風が生きています。
フォントワークスでは、UD書体をはじめ多言語書体を提供しております。
合わせて、サービス・製品の特色を生かしたフォントの多言語対応についても積極的に協業・支援を行っています。
多言語対応に関するご相談はお気軽に弊社営業部までお問い合わせください。
簡体字フォントに関するお問い合わせ先
方正FW筑紫A老明朝の他、簡体字フォントに関して詳しくは北京北大方正電子有限公司のサイトをご覧ください。
以下のお問い合わせ先は、日本側窓口ととなります。
<方正株式会社とは>
方正株式会社は印刷関係では現在中国国内の約90%のシェアを持つフォントベンダーです。方正では書体の開発・販売だけではなく、GBK、GB18030、ISO/IEC-10646といった中国国家標準(GB)やISOなどの規格の制定にも中国企業を代表し、積極的に参加。またフォントワークスとは年間定額制フォントライセンス「LETS」のオプション「方正LETS」において協業しています。
本件に関するお問い合わせ先
多言語対応に関するご相談はお気軽に弊社営業部までお問い合わせください。