第31回 株式会社デザインQ 様[PUTK2013→2014 イラスト描きおろし]

Interview

株式会社 デザインQ HP

株式会社デザインQは、福岡に拠点を置くデザイン事務所です。「美しく、人に響くデザイン」をコンセプトに、40年以上にわたり、多くの案件を手掛けられています。

パッケージ、シンボルマーク・ロゴタイプ、キャラクター、カタログ、サインのデザインからホームページの作成など、幅広くデザインをされています。普段の生活で何気なく手にした商品や、目にする機会の多い有名企業のロゴなども同社のお仕事です。

また、今年のLETS Power Up Tool Kit 2013(PUTK)で提供しているイラスト、およそ500点の制作は、PUTK専用に同社に描きおろしていただきました。

LETS会員様から、写真やイラストのご要望を多くいただく中で、特に広報紙に使いやすいシンプルなイラストデータを、豊富なバリエーションで提供したいという弊社のリクエストに応えていただきました。今回は、主にその制作で一緒に試行錯誤いただいた梶原さま、山本さまの2名にお話しを伺いました。

LETS Power Up Tool Kit 素材イラストの制作は、ユーザーサポートがきっかけ

取締役 クリエイティブディレクター 梶原 修 氏

今回、PUTK素材のイラストを制作することになったのは、フォントワークスさんが行なっているサポートセンターの[訪問サポート]でご来社いただいたことがきっかけでした。

もともと、パッケージで書体を購入して使用していたのですが、フォントバリエーションの多さから、数年前より【LETS】を導入して仕事をしていたんです。 同じフォントでも、ちょっとした配置や詰め方を調整することで印象を変えることができますが、やはり種類が豊富にある方が、選択肢も多くなり、描いたイメージに近づけやすくなりますからね。

社内では最近、新入社員がフォントの使い方の勉強を始めたところなので、私も教えながら、改めてデザインにおけるフォントの大切さを感じていました。そんなとき、サービスの一環として訪問サポートを行なっていることをお知らせいただき、弊社でも一度来ていただくことにしたんです。

ダウンロード件数や訪問先での要望がPUTKになる

レイアウトの調整を行なっています

訪問サポートで、新書体やツールの使い方などを詳しく教えていただいているうちに、LETS Power Up Tool Kit (PUTK)の話しになりました。

実は私、このPUTKに収録されている素材がLETS会員なら無償で使えることをこの時まで知らなかったんです。その中でも、よく使われる写真やイラストはどういったものなのかなど、話を聞いていくうちに興味が湧き、素材のラインナップについてもどういった基準で選ばれているかなどいろいろ伺いました。

LETS会員からの要望が多いものを中心に、素材の拡充を図られていることや、“撮りおろし”や“描きおろし”にこだわりを持っていることを知り、同じ福岡の会社として弊社でもお力になれないだろうかと、お話しをしてみたんです。 その一つとして、イラストのご提案をしたのですが、ちょうどフォントワークスさんでも、イラストの要望が多く、バリエーションの増加を考えているとのことだったので、タイミングよく話がまとまりました。

そこで、どういったリクエストが多いのか、使う人や用途などを伺い、需要について一緒に考えてみることにしたんです。その結果、自治体のユーザーさんからの要望が多く、“挿絵”として使用するイラストには、写真よりも簡略化した図の方が見やすく、伝わりやすいというような意見が多いということが分かってきました。そのため、広報紙などに最適なシンプルなデザインのイラストを制作していくことになりました。

コンセプトは『シンプルで使いやすいイラスト』

デザイナー 山本 佳江 氏

まずは、イラストの大きなコンセプトとテーマやカテゴリの作成を一緒に行ないました。 コンセプトを『シンプルで使いやすいイラスト』とし、日常生活というテーマの中で、〈人物〉や〈植物〉などのカテゴリで作っていくことにしました。

そこから、軸となる人物のデザインを梶原が担当し、それに沿ったイラストの制作は私がというように、それぞれ手書きでイラストを描いていきました。細かい構図や色使いについては、こちらからフォントワークスさんにご提案しながら進めていったんですよ。例えば、〈職業〉のカテゴリの中には、警察官や医師、野球選手などがありますが、服装で区別を付けるだけでなく、動作や表情についてもぱっと見て、その職業だと分かるような特徴やイメージをひとつずつ話し合いながら決めていきました。

また、〈動物〉や〈植物〉、〈人物〉のデザインに関しては、特に慎重になることもありました。あまりリアルになりすぎないようにしたり、小さな子どもがイラストを見て“あれ?なんか変だぞ”と違和感を持たないくらいにデフォルメしたりという感じです。そういった加減が難しいところもありましたが、特徴的なところは図鑑などで確認しながら、きちんと書いていけるように気をつけました。

こんなイメージだろうと思って描いていたものでも、形状の確認をすると新しく発見があったり、色使いについても若干明るめに調整したりと、親しみやすいイラストになるように心がけました。

色が変わるだけでずいぶんとイメージが変わります

PUTK素材イラスト FI13-C001を使用

デザインについてはもちろんなんですが、Adobe Illustratorデータの作成でもシンプルで調整をしやすいものを目指しました。

色が変わるだけで、季節感を変えたり、心情を変えたりとずいぶんとイラストのイメージって変えることができますよね。そのため、色調や形状の変更が簡単に調節できるように1つのパーツにパスを多く付けたデータにしました。パスでしっかり分かれているデータだと、ポインタでそれぞれの選択をしやすいですからね。

画像のように、幼稚園にいるような元気いっぱいの女の子のイラストから、ちょっとお出かけするようなイメージを持ったイラストに早変わりです!

また、2色刷りの印刷物にも対応できるようにしました。 黒く太い枠でイラストの周りを囲んでいるので、色を抜いて、誌面を見やすいように工夫するなど、 編集しやすい作りにしています。

少しでも要望に近づけられるように、何度もやり取りを繰り返して完成させました。作業は大変でしたが、デザイナーとして初めて最後まで携わったイラストなので、とても思い入れがあります。ぜひ、いろんな所にご使用いただければ嬉しいです。

フォントワークスフォントを使った事例のご紹介

「くろかね」を使用

〈梶原氏〉
右記に事例として紹介しているパッケージには「くろかね」を使っているのですが、他のポップ調のものとは違い、カチっとした中にもやわらかさや遊び心があるフォントだと思います。
濃度的にも迫力があるので、メインタイトルでもほとんど手を加えることなく、印象付けることができますし、特にこのイメージキャラクターとの相性もぴったりだと思います!

この書体に限ったことではないですが、こういった風合いや、情みたいな部分が多いのが、御社のフォントの良いところだと思っています。よく使っているフォントとして[筑紫明朝]があります。この書体は、他のシンプルな明朝体とは違った風合いや情をとても感じるんです。そこが気に入っています。

<編集後記>
手書きで描いたイラストをスキャンし、デザインやパスの量を調整、その後に弊社での確認というような制作過程を取っていただきました。確認の段階では、LETS会員様の声をより的確に反映できるように、社内や関係者で意見を出し合うことも多く、何度も修正や調整をお願いしました。その度に、該当のイラストだけでなく、その他にも注意をして修正いただくなど、柔軟かつ迅速な対応をしていただきました。本当にありがとうございました!

『シンプルで使いやすいイラスト』を、ぜひご活用ください。
デザインQ社に作成いただいたイラストデータは、「LETS会員専用ホームページ」や「LETS FontACEのダウンロードセンター」からのダウンロードのほか、ご送付したPUTK 2013 CD-ROMにも収録されています。

企業情報

社名 株式会社デザインQ
所在地 福岡市南区平和2丁目6-3
TEL 092-524-9339
FAX 092-524-9588
URL http://www.designq.co.jp/

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