「大阪DTPの勉強部屋」をご紹介
「大阪DTPの勉強部屋」とは、関西地区を中心としたグラフィックデザイナーやDTPオペレータを中心に教育支援や情報共有を行い、業界全体を盛り上げることを目的としたコミュニティです。
年に4回、100人以上が集まる大規模な勉強会や展示会、ワークショップの他をはじめ、隔週でも30名規模の勉強会を展開されています。最近ではジャンル問わず、色々なスピーカーを招いて、県内外の業界を問わず多くのクリエイターが集まるほどの人気です。
今回は、2014年11月22日(土)~24日(月)に開催された『書体の誕生』展の様子をご紹介しながら、責任者の宮地さんに書体に対しての想いや「LETS」について、色々なお話を伺いました。
『書体の誕生』展を絶対にやりたかった!
普段何気なく使っているフォントですが、その知識を深めていただくことでより充実したデザイン・DTPワークができると考え、みんなにフォントをもっと“身近に感じて欲しい”、“好きになって欲しい”と思い、フォントワークスさんに相談したのが、展示会開催のキッカケです。
やはりフォントワークスであれば、「筑紫書体」。その「筑紫書体」にフォーカスした『書体の誕生』展は、本当にずっと前からやりたいと思っていました。文字や組版などを学ぶ場所として2008年頃から始めた「大阪DTPの勉強部屋」は、隔週で勉強会を行っている他に、数ヶ月に1度、スピーカーを呼んでお話しいただくという催しを行っています。これはもともと名古屋にあった勉強会に通っていたのがきっかけで、“こんな風に大阪でも楽しくやれたらいいな~”という思いで始めました。
この「大阪DTPの勉強部屋」は、仕事でDTPを扱っている方はもちろんですが、“ソフトを揃えれば自分でも作れるのか”と興味をもったばかりの初心者の方や、趣味で勉強されている方など幅広い方に来ていただいています。そこで、普段の勉強会にプラスしてもっとフォントに興味を持ってもらおうと、私も大好きな「筑紫書体」に注目した『書体の誕生』展を企画し、共同開催することとなりました。
新書体としてリリースされる「筑紫アンティーク明朝」の作成過程や、作例の紹介についてはもちろんですが、大石 十三夫さんや加納 祐輔さん、長久 雅行さんなど沢山の方にご協力いただき、筑紫書体の魅力を引き出せるような、展示物を用意することができました。
また、ここが共同開催の良いところですが、普段は見ることのできないフォンワークス書体と別メーカーの書体の合成フォントの見本などを掲載することで、使い方次第でバリエーションが変わることを印象づけることができたのではないかと思っています。 実現するまでに、ちょっと時間が掛かってしまいましたが、こういった内容で開催できて良かったです。
導入方法を年間のライセンスにしたのは“先見の目”ですね
もともとフォントワークスの書体は、パッケージ製品の時代からそのデザインが好きで「ロダン」や「マティス」を使っていました。「LETS」が始まってからは、今までよりも効率よくたくさんの書体が使えるというので、本当にすぐ導入しました。
こういった年間のライセンスを支払う導入形式が、フォントだけでなく近年多くなりましたよね。先頭切ってやってくれたのは今でもよく覚えていて、「よくぞやってくれた!」と嬉しかったです。当時は書体を買うのが高かった。欲しいと思う書体はあっても、ファミリーで揃えないと意味ないし、そしたら結構なるなぁ…と売り上げとの兼ね合いを考えながらの日々でした。
デザイン性が強い書体って好きなんです
私は仕事柄、カタログや書籍、社内報などのページものを作ることが多いので、タイトルやちょっとした見出し部分にインパクトのある書体を持ってきて、見栄えのするレイアウトに調整をするときに、よく「LETS」を使っています。
クライアントに要望がそれぞれあるのと同様に、適したフォントやレイアウトもそれぞれに有りますから、選択肢の多い「LETS」は使い勝手が良いです。
例えば、コラムのタイトルみたいに少ない文字数で読者を引きつけるには、リズムを感じられるような書体がいいですね。デザイン性が強くて、細かいところまで考えられてる。他にはなかなかないですよ。
もっと「LETS」が使えるようにしてほしい!
しかし、本当はまだ満足していないところもあるんです。ページ物って、今ではPDFに書き出して入稿することもできますが、実際はそんなことほとんどしないんです。同様に、アウトラインをとっての入稿もしません。
ページ数もありますし、修正もギリギリまですることが多いですからね。そのため、最終形態である印刷物までにするには、データを作る側と出力する側が同じフォントを持っていることが重要になってくるのですが、ここが問題なんです!
私たちデータを作る側としては、クライアントの“こういう見せ方やレイアウトにしたい”という要望から、明確なフォント指定はなくとも「こういったときに使いたいフォント」って頭の中にあって、そのフォントを使える環境を整えているんです。気に入っているフォントだから当然ですよね。
ですが、フォントを持っていないために、その構想を実現できる印刷会社とそうでないところがあるんです...。もっと言ってしまえば、このあたり(関西エリア)では実現できない場合が多いと感じています。
そこが悩ましいところですね。せっかく本文書体があってこんなにキレイな書体なのに、指定できないから使えないというのは本当に残念です。
我々のような書体のファンが「LETS」の営業マンなんですよ(笑)
書体については商売道具ですし、写植の時代からの人間なので強いこだわりがあります。
今とは違って、打ってしまえば簡単にやり直しが効かない世界でしたから、それこそレイアウト全てを考えて作るということが習慣化しているような感じです。
実は、九州で本文用の書体を作ろうとしている人がいるっていうことを知ったのも「筑紫書体」の一番最初の書体(筑紫明朝-L/R)が出る前だったくらい、文字には大切な役割があるのだと、日々注目しています。使えるところには積極的に好きな「筑紫書体」を使っていますが、もっともっと縛りのない環境が整えばいいなと思っています。
この思いは私だけでなく、同業者からもよく聞くことなんですよ。“ホームページで検索したら、入稿可って表記があるのに使えないフォントだと言われた…”、“同じ印刷会社なのに入稿先の部門が変わるとどうして使えるフォントがちがうの?”などとSNSでよく話題になったりします。
どうにかもっと好きな書体を使って仕事ができるように、「LETSユーザー」である私たちも声を大にして印刷会社にも導入要望をあげていきたいですし、こういった展示会を開くことで、制作側にも「LETS」の良さを広めて行きたいです。 もちろん、フォントワークスさんからももっと書体の良さをアピールをしていってほしいと思っています!!
<編集後記>
「フォントワークスの書体、綺麗で好きやねん~」と大阪弁で想いを語ってくれた宮地さん。こうした書体好きな人たちのおかげでフォントワークスが成り立っていることを実感しました。その方々の想いにお応えできるように、フォントワークス書体が「もっと使える!」「自由に使える!」ように努めていきたいと思います。
「書体の誕生」展
会場 | クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町 |
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日時 | 2014年11月22日(土)〜11月24日(月)11:00〜18:30 |
展示内容 | フォントワークス書体見本/組見本、使用事例、「筑紫アンティーク明朝」の制作過程などをパネルで紹介 |
講演 | 「日本語Webフォントの過去・現在・未来」 関口 浩之 氏 「フリートーク」 祖父江 慎 氏 「筑紫づくし」 祖父江 慎 氏/藤田 重信 「文字組版をもうちょっと考える」 丸山 邦明 氏 「筑紫書体の誕生」 藤田 重信 |
たくさんのご来場、誠にありがとうございました。
また、この「書体の誕生」展を企画いただいた宮地さま、ご協力いただいた大阪DTPの勉強部屋の関係者の皆さま方にもこの場をかりて、御礼申し上げます。
企業情報
団体名 | 大阪DTPの勉強部屋 |
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責任者 | 宮地 知 様 |
URL | http://www.osakadtp.com/ |
加納 佑輔 様(日本語デザイン研究会[中部]) http://nihongo-chubu.blogspot.jp 長久 雅行 様 http://my.reset.jp/nagahisa/index.html 大石 十三夫 様 http://d.hatena.ne.jp/works014/ |
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